重厚な扉の向こうに、静かなカウンターと並んだボトル。オーセンティックバーに憧れはあっても、「初めてだと緊張する」「何を頼めばいいか分からない」という人は多いはずだ。
出張のたびに、その街のバーの扉を開けてきた筆者の経験から、バーの選び方、気持ちよく過ごすための振る舞い方、そして注文のコツを紹介する。難しいルールはない。いくつかのポイントを押さえれば、バーはぐっと楽しい場所になる。
この記事のポイント
- 選び方:食べログの「BAR 百名店」から探し、電話で空きを確認する
- 振る舞い方:写真は一声かけてから。滞在は2〜3杯、1時間半〜2時間が目安
- 注文の仕方:最初の1杯は「ジンフィズ」。2杯目からは好みの方向性だけ伝えて委ねる
バーの選び方:初めての街で良いバーを探すには
食べログの「BAR 百名店」から探す
初めての街でバーを探すとき、筆者がよく使うのは食べログだ。特に「BAR 百名店」に選ばれている店は、雰囲気もカクテルの質も外れが少ない。
人気店は混んでいることも多いので、行く前に電話で空きを確認するのがおすすめ。出張先で百名店に電話してみて、「空いていたらラッキー!」という夜を、これまで何度も経験してきた。
行きたいバーから、その夜の街を決める
少し慣れてきたら、「行きたいバー」を先に決めて、そこから夜の過ごし方を組み立てるのも楽しい。1軒目はバーの近くで軽く食事をして、2軒目に目当てのバーを訪れる。お腹が落ち着いた状態で、カクテルをじっくり味わえる。
名門と呼ばれるバーほど、入口はひっそりとしていることが多い。階段を上った先や路地の奥にある扉を見つけた瞬間から、もう特別な夜が始まっている。



フードのあるバーなら、食事から楽しむのもあり
しっかりしたフードを出すバーなら、あえて長居するつもりで、食事と一緒に4〜5杯を楽しむこともある。ミュンヘンの「Schumann’s Bar」では、ローストビーフに合わせてカクテルを選んでもらった。
海外では、ホテルのバーでカクテルと料理を一緒に楽しむのも気軽でいい。ヒューストンのホテルのバーでは、テキサスらしいBBQタコスと一緒に、ボンベイ・サファイアにラベンダーシロップとレモンを合わせたシグネチャーカクテル「Line Drive」を味わった。


振る舞い方:気持ちよく過ごすためのマナー
写真は「1枚撮ってもいいですか?」と一声かけてから
美しいカクテルは写真に残したくなる。ただ、バーは他のお客さんが静かな時間を過ごす場所でもある。撮影の前には必ず「手元のグラスの写真を1枚撮ってもいいですか?」と確認している。
断られることはほとんどないが、この一言があるだけでバーテンダーとの距離も縮まる。撮るのは自分のグラスだけにして、フラッシュは使わない。他のお客さんが写り込まないよう気をつけたい。
滞在は2〜3杯、1時間半〜2時間が美しい引き際
1軒のバーでの滞在は、2〜3杯、時間にして1時間半〜2時間程度が目安だ。心地よい余韻を残したままお会計(チェック)をお願いし、まだ飲み足りなければ場所を変える。それが、バーの雰囲気を壊さないコツだと思っている。
注文の仕方:最初の1杯と好みの伝え方
最初の1杯は「ジンフィズ」でお店の個性を測る
初めての店では、まず「ジンフィズ」を頼むのがおすすめだ。シンプルなカクテルだからこそ、ジンのボタニカルの活かし方、酸味と甘みのバランス、シェークの技術、炭酸の扱いなど、バーテンダーの腕前とお店の方向性が最も端的に表れる。
同じジンフィズでも、店によって驚くほど味が違う。いわば、その店を知るための「ベンチマーク」になる1杯だ。




4軒のジンフィズを並べてみると、グラスの形も、泡の立ち方も、色合いもそれぞれ違う。飲み比べるつもりで最初の1杯を頼むと、バー巡りがもっと楽しくなる。
バーで飲んだジンフィズが忘れられなくなったら、家で作ってみるのも楽しい。シェイカーが1つあれば、レモンとシロップ、炭酸水で再現できる。

2杯目からは、好みの方向性だけ伝えて「委ねる」
2杯目以降は、自分の好みにプロのアイデアを掛け合わせてもらう。具体的なカクテル名や銘柄を指定しすぎず、大まかな方向性だけを渡してみるのがおすすめだ。
- 「少しスパイシーなジンベースで」
- 「柑橘が効いた、さっぱりしたものを」
- 「ジンベースで何か、おすすめを」
ミュンヘンの「Schumann’s Bar」で「ジンベースで何か」と頼んだときは、日本人だからと柚子を使った「Kyoto Gimlet」を作ってくれた。自分では選ばなかった1杯との出会いこそ、バーの醍醐味だ。
バーとカクテルの世界をもっと知りたくなったら、そのチャールズ・シューマン氏の著書『シューマンズ バーブック』を手元に置いておくのもおすすめだ。レシピだけでなく、お酒の基礎知識やバーテンダーとしての心構えまで詰まった、世界中のバーテンダーの「バイブル」だ。
お店のおすすめに乗ってみる
メニューがある店で「当店は〇〇が人気です」と言われたら、素直に乗ってみるのも良い。その店が一番自信を持っている1杯に出会えることが多い。
旅先でも、ジンの1杯を探してみる
バーに慣れてくると、空港のラウンジや旅先のレストランでも、ついジンのメニューを探すようになる。羽田のANAラウンジでは国産クラフトジン「桜尾」のジントニックが楽しめたし、エクアドル・ガラパゴス諸島のサン・クリストバル島(プエルト・バケリソ・モレノ)のレストラン「La Regata」でも、ジンカクテル「Gin Sparow」に出会えた。


筆者が訪れたバー
実際に訪れたバーの体験記はこちら。
- ミュンヘン「Schumann’s Bar」訪問記:伝説のバーテンダー、チャールズ・シューマン氏の名店
- 大阪・堂島「Bar Juniper」:筆者がクラフトジンに出会ったクラフトジン専門店
まとめ:扉を開けるだけで、夜は少し特別になる
オーセンティックバーは、決して敷居の高い場所ではない。百名店に電話してみる、最初にジンフィズを頼んでみる、写真の前に一声かける。それだけで、初めてのバーでも心地よい時間を過ごせるはずだ。
バーでジンの魅力に気づいたら、次は家でも楽しんでみてほしい。
👉 ジンの飲み方6選|ソーダ割りからマティーニまで
👉 初心者におすすめのジン6選
📖 もっと知りたい方へ:勝負の前夜の1杯「ダッチ・カレッジ」とジンのルーツ
🍸 京都で実際にバーをはしごした夜の記録はこちら。


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